平成11年度は、1980年から現在に至るドイツのメッセージソングのテクスト研究を中心として進めた。デーゲンハルトやヴェッカーなどドイツの代表的なメッセージソング・ライターのCD、歌詞集を購入し、OCRソフトを用いて歌詞を文字テキスト化することによってデータベース化を進めた。またMP3ソフトを用いて、メッセージソングをMP3形式の音楽データとしてデータベース化する作業も進めた。夏季にはベルリンとウィーンの国立図書館および市立図書館に収蔵されている音楽雑誌を調査し、メッセージソング関係の雑誌記事を収集した。 収集した資料を分析することによって、80年代から90年代に生まれたメッセージソングの歌詞に、同時代の社会問題が大きく反映していることが確認された。メッセージソングの具体的なテーマとしては、環境問題、外国人差別の問題、女性差別の問題、東西ドイツの心理的格差の問題などが確認できた。 本年度はまたドイツ語圏のメッセージソングのテキスト分析を行う際の理論的可能性に関しても研究を進め、それについて日本独文学会東北支部のシンポジウム「ポップカルチャー研究の現在」において研究発表「ドイツ語圏におけるメッセージソングのテキスト研究-研究方法および研究・教育上の可能性」を行った。
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