本研究は以下に挙げる論点に沿って、精密な書誌を作成しつつ行われた。 1.ゴンチャローフの「日本渡航記」にうかがわれる、ロシア人の観た幕末の日本及び日本人観 2.二葉亭四迷、川上俊彦、嵯峨の屋お室など、東京外国語学校魯語科出身者のロシアとの関わり 3.森鴎外、田山花袋、島崎藤付、国木田独歩らによる、重訳を通じてのロシア文学の受容 4.千島樺太交換条約と日露戦争の有する文化史的意義 5.コレンコ、グレー、ケーベルといった東京外国語学校、東京帝国大学のロシア人教師や、B.ピウスツキ、マトヴェーエフ、N.ラッセルのような亡命ロシア人、ポーランド人の日本での事跡と日本観 6.日本におけるロシア語教育の歴史 7.日本の環日本海地域と極東ロシア、サハリンとの関わり 8.北洋漁業と日露関係 9.1917年のロシア革命の後来日した白系ロシア人の事跡調査 10.近・現代日本文学の作品に表れたロシア及びロシア人のイメージ 4年間に論文をわが国で10本、ロシアで5本、カナダで2本、ポーランドで1本発表し、ロシアとポーランドの国際会議で計3回報告した。また国内各地の図書館、史料館はもとより、神戸市立外国人墓地、静岡県富士市、外国ではハワイ大学ハミルトン図書館、チェコ共和国スラブ図書館(プラハ)、ロシア文化博物館(サンフランシスコ)、スタンフォード大学フーバー研究所(米国・パロ=アルト)で調査と資料収集を行った。
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