本年度は『バルクラボウ年代記』のテキストを中心として、他のリトアニア・ベラルーシ年代記および『リトアニア法典』のテキストと比較しながら、名詞類(名詞・代名詞・形容詞・数詞)の形態規範を研究した。多様な形式が一つのテキストに混在する傾向にある動詞過去形と違い、名詞類の格語尾は一つのテキストの中でも、また異なるテキスト間でも均一性が高いことがわかった。しかしながら、特定の格語尾に複数の形態バリエーションが存在する場合、優先的に使用される形式はテキストによって異なっていることがあり、またそれらのバリエーションの選択順位(使用頻度)にもテキストごとに異なった傾向を示している。しかし、その原因については解明できなかった。なお、本年度は名詞類のうち名詞に対象を限った研究成果を論文として公表した。
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