今年度の本研究の実績概要は以下の通りである。 グイ語の方言変種によるコン語との接触程度の違いを解明するために、音韻論的な指標と文法的な指標とを用いて、グイ語の3方言の区別をこれまでよりも正確に確定した。その結果、カデ方言、クーテ方言、ホウ方言のうちクーテ方言がもっともコン語との接触の度合いがつよい変種であることが分かった。 昨年度から本格的に取り組み始めた、ウィッツ大学のトニー・トレール教授のコン語資料と私のグイ語資料との語彙比較データベースを、より精緻なものにするために、国内のカラハリ研究者から最新情報とデータベースに関する論評を受け、データベースのとくに意味記述・博物的情報記載に関する大幅な刷新と改訂とを行った。その過程で、グイ語のフォークタクソノミー的な研究成果が得られ、その一部を論文として刊行した。(11の欄に記載) グイ語語彙資料を今後さらに広く他のコイサン諸語と比較するために、グイ語辞書の一部の意味記載を英訳した。この英訳作業は今後も継続拡張しやすいように、辞書データベースの設計を一部修正した。
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