南西アラスカのユピック・エスキモー語について、宮岡が過去30数年間の現地調査でえた音声資料とフィールド・ノートを整理・分析することによって、同言語の包括的な記述文法を纏めあげるのが本研究の目的である。 本年度は、研究協力者(氏平明など)の助力をえて、音声データのうち音律面(プロソディ)の音響分析に着手し、最小の記号的な結節である語に集約性をあたえる重要な形式的特徴であるピッチの確認などを行ないえた。と同時に、エスキモー語のような複統合語の記述には形態法がその中核とならざるをえないが、これを中心とし、前後に音韻論とシンタックスを配した記述の枠組み(構成)を細部にわたって検討し、次年度から本格的に記述をすすめるための試案をえた。
|