研究概要 |
1.序 (1)相づちにかんする現象は,言語間,個人間,個人内での変異が大きく,量的(平均値的)アプローチには限界があり,質的なアプローチが必要である. (2)社会学的な会話分析は質的なアプローチとして有効である. (3)会話分析の概念装置のなかでも「反応機会場」(西阪,2005)は,相づち研究にとって,とりわけ重要である.同時に,本研究にオリジナルな「文中相づち」「文末相づち」の区別,「短い相づち」「長い相づち」の区別も重要である. (4)言語的な相づちと同時に非言語的な相づち(頷き,視線,表情など)も重要であり,それらを含めたデータ(資料)記述・分析が必要である. (5)研究期間中に収集し,スクリプト化を進めていたデータは,量的分析を前提にしたものであった.上述の理由により,その多くは,会話分析的な記述・分析(質的なもの)を施しなおさざるを得ない状況となった.また,収集時の契約等の関係から,スクリプトを直接公開する形での会話分析的な考察が不可能なものも一部ではあるが存在する.今後これらについても何らかの形で公開するなどの方策をとるが,本報告には盛り込めなかったものも多い. 2.報告1「「相づち」は文化ではない:留学生(英語話者)が日本語で話す時と,英語で話す時に見られる相づちの比較」 相づちなどのいわゆる「会話スタイル」の問題を「文化」を説明変数として考えていくことの危険性を示す一例としての留学生の相づちの研究 3.報告2「相づちの効果:「聞いている」ことを示そうとすると「相づち」は増えるのか」 相づちの機能(効果)といういわば古典的問題の実験的研究であっても言語的相づちのみではなく「頷き」を見ることが必要であること示す例としての研究 4.報告3「相づち」とは何か?:文献研究 研究期間終了時点での文献研究の成果
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