研究課題/領域番号 |
11610573
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
菅原 克也 東京工業大学, 外国語研究教育センター, 助教授 (30171135)
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研究分担者 |
牧野 陽子 成城大学, 経済学部, 教授 (70165687)
平川 祐弘 福岡女学院大学, 人文学部, 教授 (80012368)
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キーワード | 永井荷風 / 岡倉天心 / ラフカディオ・ハーン / 日本回帰 / 西洋への憧憬 / 森鴎外 / 江藤淳 |
研究概要 |
本年度は、まず研究の出発点を確認するという意味で、「異文化とアイデンティティー」という観点から、各研究分担者が論文を執筆した(『無限大』105号に特集として掲載)。 ここで確認された視点に基づき、平成11年9月18日・19日の両日、ヴァンクーヴァー(カナダ)のブリティッシュ・コロンビア大学で開催された国際シンポジウム"Nostalgic Journeys: Literary Pilgrimages between Japan and 'The West'"に菅原、平川、成恵卿が参加し、それぞれ"Nagai Kafu's Return to Old Edo""The Nostalgic Journeys of Kinya Tsuruta""Return to Japan:The Case of Okakura Tenshin"と題する英語発表を行った。この成果は、来年度に日本語と英語の論文集として刊行される予定である。 年度途中に、成恵卿が所属機関(日本大学)を離れて韓国ソウル女子大に転任したため研究分担者を辞退し、代わって牧野陽子が研究分担者となった。 菅原は永井荷風における伝統意識の形成に関する実証研究を通して、荷風における「郷愁」の対象としての「日本」の意味についての研究を継続中であり、平川は森鴎外における家族意識の分析を通じて「西洋」と「日本」とが日本の知識人にとって持つ意味を究明しようとしている。牧野は成の天心研究を引き継ぐとともに、ラフカディオ・ハーン=小泉八雲における「現幻想に彩られた『日本』への巡礼」という問題を傍らにおくことで、明治期の日本人における「西洋への巡礼」の意味を、別な角度から明らかにしようとしている。その他、平川には、昨年没した江藤淳における「西洋」と「日本」の意味に言及した論文がある。これは日本の知識人の「西洋巡礼」と「日本回帰」に関する事例研究である。
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