研究概要 |
1.クレオール研究を進めるにあたっては,隣接する諸分野と連関させながら位置づけることが重要なので、日本語関係の資料はポスト・コロニアルや日本の近代を扱った文献を中心に収集した。また、スペイン語関係の資料が不足しているので2月に調査研究のためキューバを訪れた際,ホセ・マルティ、フェルナンド・オルティスを中心に収集に努めた。収集した資料から得られた情報は、アルバイトも利用して出来るだけデータ・ベース化している。 2.現地での調査実施はキューバだけに終わった。ただし、メキシコのコレヒオ・デ・メヒコが主催したセミナー『日本文化研究の最近の潮流』(国際交流基金援助)に招待された機会を利用してメキシコでの調査も実施できた。コレヒオ・デ・メヒコの中南米研究者とも交流できるようになった。キューバについては、現地調査を進めたほか、ハバナ大学のカリブ海研究者ヨランダ・ウッド教授と意見交換ができたことが成果だった。同じスペイン語圏でも、カリブ海諸島のキューバと大陸のメキシコでは歴史的・文化的に大きな隔たりがあり、クリオーリョの意識も異なることを認識したが、近いうちに論文にまとめる予定である。 3.マルテニック島出身者で、ラフカディオ・ハーンを研究しているルイ=ソロ・マルティネス氏からフランス語圏カリブ海の情報提供を受け、ネイティブ・スピーカーから直接クレオール語を学んだ。また、6月19日に東京外国語大学において岩崎勉氏が中心になった研究グループWINC主催のクレオール関係のシンポジウムがあり「提題者」として参加した。今年度は論文の準備段階で終わったが、まもなく中間報告的な形で成果をまとめたい。
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