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2000 年度 実績報告書

ドイツ・ナチズム期のユダヤ人立法と安楽死法草案の研究

研究課題

研究課題/領域番号 11620006
研究機関奈良教育大学

研究代表者

佐野 誠  奈良教育大学, 教育学部, 教授 (90202100)

キーワードナチズム / 安楽死法 / ユダヤ人 / ユダヤ人観 / 同種性 / 政治的なものの概念 / カール・シュミット / マックス・ヴェーバー
研究概要

本年度の研究実績は、次の2点である。その第1は、ナチスの安楽死法草案の作成に、1920年に出版された刑法学者カール・ビンディングと精神科医アルフレート・ホッへ共著の『生きるに値しない生命の抹殺の許容』の内容が、きわめて重要な役割を果たしたという事実の発見である。従来、この書物については、研究者の間で話題になってはいたが、ナチス安楽死法草案との関係では曖昧な点が多かった。しかしこの書物の解読、およびその後の受容態様の検討を通じて、この書物のナチスへの歴史的・思想史的影響が鮮明となったのである。この『生きるに値しない生命の抹殺の許容』については、近く翻訳出版の予定である。
第2は、カール・シュミットを中心とするナチス法学者のヴァイマール期、ナチズム期に書かれた諸論文の解読を通じて、ナチス法学者および知識人のユダヤ人観の一端を明らかにしたことである。特に(1)シュミットに見られるような「同質性」「同種性」「種の同一性」という概念の巧みな使い分けが、ヴァイマール期およびナチズム期のユダヤ人抑圧の修辞的要素となったこと、(2)法(Recht)と法律(Gesetz)とを区別し、ユダヤ人の思考を法律実証主義の側に、ナチズムの思考を民族法の側に置くことによって、ナチズム期の法学の分野でも、ユダヤ人とドイツ人との対立が「人為的に」作り出されたこと。以上の思想史的経過を検証できたことは、大きな収穫であった。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] 佐野誠: "ヴェーバー・ユダヤ人・シュミット"創文. 419号. 1-5 (2000)

  • [文献書誌] 古賀敬太,佐野誠(編): "カール・シュミット時事論文集-ヴァイマール・ナチズム期の憲法政治論議-"風行社. 302 (2000)

  • [文献書誌] 橋本努 他(編): "マックス・ヴェーバーの新世紀"未来社. 351 (2000)

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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