平成13年度は、本研究の最終年度として、過去2年間の研究成果を総括するためのまとめの作業と、その作業の一部の公表として、『法文化の探求法文化比較にむけて』(2001年4月)を刊行し、また、その後の最新の動向をふまえて同年12月に同書の補訂版を刊行した。また、同年6月にアムステルダムにて開催された国際法哲学会分科会ににおいて、スコットランド新議会開設の意義などについて、本研究成果の一部を報告した。 本書におけるスコットランド関係の話題としては、(1)本研究のメインテーマたる、99年開設のスコットランド議会のためのスコットランド議会議員選挙の結果や、議会開設の歴史的意義、議会の構成、特徴、立法動向などを紹介、検討し、あわせて、議会と一体化した形で新設されたスコットランド行政部についても、その機構や機能、などを紹介、検討した。そして、この総論的なテーマを前提として、新議会の立法的な動向を前提とした各論的テーマとして、(2)スコットランドの少年処遇のあり方やその特徴、意義などを、近年のわが国での少年法改正との比較という観点をふまえて、「少年処遇の日英比較」、とりわけ、スコットランド固有の制度たる児童聴聞制度について詳しく紹介、検討を行った。さらに、(3)新スコットランド議会の重要な立法的課題としての、スコットランド家族法につき、さらなる「破綻主義離婚の徹底」をめざした離婚法改正の動向について詳しく検討した。また、スコットランド婚姻法上の一形態たる宗教紺についても検討した。そして、もう一点、(4)最新の人クローン規制に関する国際的な動向のなかで、スコットランドをも含むイギリス(最先端医療については、スコットランド議会は固有の立法権能を有しておらず、ロンドンのウエストミンスタ議員でイギリス全体に適用される法律によって規制されている)での人クローンの規制に関する基本的な考え方と、それを前提とした人クローン規制法について、わが国とアメリカの人クローン規制に関する動向との比較という土俵のなかで詳しく検討した。
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