研究課題
今年度は、南東北地域の周辺へも目を向け、各自治体の担当部局、住民団体などから聞き取り調査や資料収集、現地視察を行った。具体的には、岩手県、新潟県、栃木県、栃木県那須町、宮城県、(財)エコパーク出雲崎などである。これらの聞き取りと資料収集から、各県の廃棄物処理行政の現状と課題、個別の自治体での廃棄物行政の実状や不法投棄の内情などが、かなり鮮明になってきた。今年度の具体的な研究実績としては、まず、神戸秀彦『大系環境・公害判例第6巻廃棄物』、同「産業廃棄物の差止めについて」がある。これらは、わが国の廃棄物問題の裁判例を極めて詳細に取り上げたものであり、この分野での学術的貢献は多大なものがある。次に、清水修二「『危険の分配』に環境対策の視点を」、同「『迷惑施設』の立地規制」、同「みんなのゴミは、あなたのゴミでもある」は、NIBYシンドロームの分野から、廃棄物の処理施設の建設問題などを論じた物である。さらに、中井勝己「廃棄物問題-ダイオキシン被害を中心に-」は、中間処理施設でのダイオキシン問題を取り上げ、同「住民投票が地方政治を導く」は廃棄物の処分場建設をめぐる住民投票制度を論じたものである。福島県内外の産廃紛争についても、宮城県村田町の訴訟を、関係者からの聞き取り調査と現地視察を行ってきている。フィールド・ワークの排水調査において、昨年度に引き続き、福島県の河川などの水質データが把握されてきている。
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