本研究についてはすでに予備的研究ともいいうべき研究の一部をすでに開始していたが、「公的負担の法理におけるパラダイム転換-統治におけるパラダイム転換との連動性」として公刊した(11.研究発表参照)。この成果に基づきつつ、本年度は、とくに財政制度審議会、行政改革委員会、地方分権推進審議会等の数次の答申に示された、「財革法」自体の立法にいたる経緯の背景分析と、関連法と「財革法」の関係の分析を行な宇予定であったが、同法が凍結されていることもあり、大幅な進展を得られなかった。それに代わり、本年度の主要な研究実績としては、いわゆる地方分権一括法によって2000年度4月より施行される改正地方自治法等の下における「地方財政制度改革」の法的分析を挙げることができる。本研究のテーマからいうと地方分権という「地方行政改革」は、「地方財政構造改革」抜きで実施されようとしており、国のそれとは異なる形態の「財政と行政の相互規定性の法的限界」の問題分析を可能にした。なお、その成果の一部は、1999年10月に開催された日本公法学会で報告する機会を得ることができた。
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