本研究は、1997年末に可決成立し、施行後の半年の間に、その改正法の可決成立および1999年度予算編成に当たってはその「凍結」という「異常」な事態を見てきた「財政構造改革の推進に関する特別措置法(平成九年十二月五日法律第百九号)」の法構造分析を通して、「財政構造改革」による「行政改革」を狙いとするかに見える同法をめぐる、財政と行政の相互規定性の法的限界を研究しようとするものである。 研究開始直後に、本研究課題の「財政構造改革による行政改革」そのものの好個の研究素材が、むろん国のそれもなお進行しつつある一方で、地方公共団体にかんして生じた。いずれも本研究と密接不可分の関係にある法制度改革であることから、前者については中央省庁等改革の中でも独立行政法人を検討対象として取り上げ、課題の追求につとめた。後者の課題については、地方分権一括法にもとづく地方財政制度改革の検討を通して、それがいかに地方自治行政改革と密接不可分の関係にあるとともに、地方においても、財政と行政の相互規定性が貫徹しているかの構造分析を手がけることになった。地方財政制度改革についてはなお検討の余地を残しており、今後の課題の所在を明らかにするにとどまったが、その研究の一端は、1999年10月に開催された日本公法学会で報告し公表する機会を得ることができた。 なお、本研究を通して、ほぼ15年間にわたる課題にかんする研究を総括する機会を得た。地方財政制度にかんしてはなお研究の余地を残しているが、国の財政制度にかかわる本研究課題についてはこれまでの研究成果とあわせ、まとめて公刊の運びとなった(後掲出版物、福家俊朗『現代財政の公共性と法-財政と行政の相互規定性の法的位相』〔信山社、2001年2月〕参照)。
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