研究概要 |
本研究は、欧州連合レベル及び構成国の国内レベルにおける民主的統制の重要性を念頭において,欧州連合の対外的機能の分野において,民主的統制の要件がいかなる機関により(主として欧州議会が中心となる),どのような事項に関し,どの程度充足されてきたのかを,歴史的側面及び他の分野との比較において明らかにすることを目的としている。 平成11年度においては,民主的統制に関する研究の基礎的及び前段階的な研究を行った。つまり,欧州連合の対外的権限の歴史的発展を検証するため,EEC,ECSC,Euratom条約,単一欧州議定書,マーストリヒト条約,アムステル条約のおのおのにおける各共同体の対外的権限に関する一次資料の収集,分析を行った。その成果の一部である欧州共同体立法の国内的効力,最高性などに関する判例,経済的制裁の事例研究,通貨統合に関する資料などは,「国際法資料集1999年度版」に収録されている。 また,同時に,対外的権限の分析の過程で,当該権限の基礎をなすと考えられる,国際機構の法人格概念に関する研究を現在行い,法人格概念に関する論考を執筆中である。 平成12年度は,平成11年度に得られた結果を基礎に1)対外的分野とそれ以外の分野における欧州議会権限の比較,2)国内会議による民主的統制の可能性,3)共同体権限と加盟国権限の関係,の問題を主とて検証し,理論的考察を主とするとともに,共同体実行を引き続き検証し,全体像の理論化を行う予定である。
|