1.本研究の出発点となった1998年9月の日独シンポジウムにおける研究報告「環境価値と貿易価値の調整」の原稿に大幅な加筆修正を行った英語論文を発表した(後掲研究発表参照)。 2.生産工程および生産方法(PPM)に基づく貿易関連環境措置のWTO協定整合性の問題を最近のWTO紛争処理機関による判断事例を下に検討した成果を2000年10月オタワで開催された日米加3国国際法会議で報告する機会を得た。この研究報告に加筆したものを次年度に発表する予定でいる。 3.GATT/WTO法と貿易関連環境措置(TREM)の抵触状況を総合的に分析するため、前年度と同様にGATT/WTO法における自由貿易体制の法的枠組および紛争処理手続制度の理解を深めるとともに、同紛争処理手続で扱われた環境関連の紛争事例を収集し、これらの分析評価に努めた。そのために、これらの問題について、WTO法研究会を組織し、専門の研究者からのレヴューも実施した。 4.2000年7月にロンドンで開催された国際法協会第69会期において国際通商法委員会などいくつかの委員会に出席し、TREMやWTOの紛争処理の動向について意見交換を行うとともにWTO環境と貿易委員会の活動状況などについて情報収集を行った。 5.完成品に反映しない、いわゆる非産品関連PPMの規制手段としてラベリングが考えられるが、このようなラベリング規制については、WTOの貿易の技術的障害に関する協定(TBT協定)および衛生植物検疫措置の適用に関する協定(SPS協定)との抵触が問題となる可能性があるため、両協定の解釈・適用に関する事例の分析に努めるとともに、EUやNAFTAなどの地域協定や各国のエコラベル規制の状況と動向を調査した。成果は次年度に発表予定。
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