1.2000年秋にオタワで開催された日米加3国国際法会議での報告に基づき生産工程および生産方法(PPM)に基づく貿易関連環境措置のWTO協定整合性に関する英語論文を執筆した。近く出版される予定である(後掲研究発表参照)。また、貿易と環境の問題についてとくにその調整手法が注目される地域的経済統合を研究するため、NAFTAを中心にWTOと地域貿易協定の関係を研究し、論文として発表した。 2.本年度末に外務省主催の「貿易と環境に関するワークショップ」にて「気候変動枠組み条約及び京都議定書とWTO協定との関係」と題する報告を行い、とくに京都議定書の国内実施方法として環境に有害なPPMの規制や排出権取引規制とWTO法の抵触の可能性について、これまでの研究成果を発表した。 3.3月に開催された第96アメリカ国際法学会に出席し、「WTOと国際的な法の支配」、「貿易と人権」、「グローバリゼーション、環境法とガバナンス」、「米国の一方主義」、「NAFTAにおける公平且つ衡平な待遇」などのパネル・セッションに参加し、情報収集と意見交換に努めた。 4.昨年度に引き続き、PPMが完成品に反映しない、いわゆる非産品関連PPMの規制手段としてラベリング規制について、WTOの貿易の技術的障害に関する協定(TBT協定)や衛生植物検疫措置の適用に関する協定(SPS協定)との抵触が問題となる可能性があるため、両協定の解釈・適用に関するWTO事例の分析を行った。その成果は、下記5の著書の中にまとめる予定である。 5.3年間の本研究の成果を著書にまとめるべき準備をしたが、完成にはいまだ時間を必要とし、2002年度秋を予定している。
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