上記研究課題に関して、訴訟当事者の視点に立って、民事訴訟法を中心とした民事手続過程全般において、「救済法としての民事手続法」を脱構築するという基本視角から、多くの独創的な成果を得た。本年は、上記研究課題に関する研究の最終年度に当たるので、特に、これまでの研究成果の集大成に努めるべく、研究成果のまとめと公表に力を入れた。近々公表するものをも含め、次に記載するような具体的な諸成果を得、また、いくつかの学会および研究会で、その成果を報告した。 まず、総論的な研究として、救済法的な視点から、「民事訴訟における救済方法論」を論じ、「民事通常訴訟の審理構造」の研究を行い、ある医療過誤訴訟事件を素材に「民事訴訟における救済形成過程とその課題」を析出し、近時大きな展開を見せている「司法改革と法的救済のあり方」を探究し、それぞれ、新たな具体的提言を行った。 次に、各論的な研究として、「司法へのアクセスの基本的なあり方」、「小さなトラブルの救済構造」、「差止請求訴訟の救済構造」、「差止的救済と訴額の関係」、「将来給付の訴えの救済構造」、文書提出命令手続を中心とした「証拠の収集手続」のあり方、「計画審理の救済構造」、「大規模訴訟の救済構造」、「代替執行の救済構造」、「仮処分の方法と救済方法」、「破産法における多数の不法行為債権者の救済構造」、および、「消費者破産の救済構造」などについて、独自の視角から研究を行い、具体的な解釈論および立法論を呈示した。 なお、法科大学院構想についても、個別事件の具体的な文脈で、裁判官的な判断者の視点からだけではなく、人間に対する温かい眼差しから紛争当事者の視点に立った創造的な救済方法を構築できる法曹を育成すべきとする基本的な視点に立って、様々に論じた。 個別の研究内容についてのより詳細な最終報告書は、後日提出する。
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