1.本研究では、地球温暖化問題を中心に、非直接規則的手法(自主的取組、協定的手法、取引的手法、経済的手法)のうち、a.産業界の自主的取組、b.自治体の実行計画、c.協定的手法を主に取り上げ、各手法を実効性、公平性、経済性の観点から評価する。 2.本年度は、まずヒアリング調査にとりかかった。a.については、主要な温暖化対策の一つである、産業・エネルギー転換にかかる産業界の自主的取組をとりあげた。1997年の「経団連環境自主行動計画」とその第1回フォロー・アップによると、28業種のCO2排出量(炭素換算)は、1990年度実績1億2900万tに対し、1997年度で1億3300万tであり、3%増である。対策をとらない場合の10%増に比べると成果が出ているとの評価も可能だが、国全体で1990年比6%減(実際には、現在でも約15%減が必要)、経団連の自主的目標である1990年レベル以下と比べても実効性の点で疑問符が出ている。引き続き定点観測が必要である。b.としては、東京都の計画を取り上げた。都は、1998年「地球環境保全東京アクションプラン」で、2010年のCO2の排出量を1897万tと予測し、1990年比6%削減した数値1435万tとの差4620tを削減するために、都民・事業者2600t、社会基盤事業による削減2020tと振り分け、1999年3月策定の「東京エネルギービジョン」では数値目標と方法を明らかにしている。新エネルギー普及のための誘導的手法や社会基盤事業を進める手法について、調査を続ける。(3)協定的手法としては、たとえば、柏市の環境保全協定があり、同市は、108事業所と協定を結んでいる(古紙再生紙類の利用58社、低公害車導入18社、省エネ型機器の利用22社、グリーン商品購入15社、アイドリングストップ75社、事業所内の緑化62社)。実効性については今後の検討課題である。
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