従来の縦割り法則を、個々の行為の機能ごとに共通の法的対応を可能とする横断的法制に変えていくべきとの議論は、いわゆる金融サービス法論議として関心を集めてきたが、その中心テーマである集団投資スキーム法制と投資勧誘に関する法制については、今通常国会において立法化の運びとなった。このことは金融サービス法の制定はまだ終わっていないとの金融審議会の意見を表すものである。英国においてもすでに金融サービス法は金融サービス市場法に変わろうとしており、私見によると金融サービス法論議という名称を廃し、真の日本版横断的包括資本市場法制の確立へと関心を集めていかなければならないと考える。ただそのためには、概念や体系そのものを全面的に見直すための具体的構想をたたき台として示す必要がある。 研究期間一年目の平成11年度には、金融審議会第一部会の集団投資スキームWGにおいて、これに関する私見を示したのに続いて、若干の論文で私見の概要を公表した。ただしいまだ構造はより具体的な形において示されるには至っていない。この問題は既存の概念や体系自体を見直そうというものだけに、各論的問題は金融・証券法制のほぼすべての論点に関わっており、これで終わりということはないが、さらに残された二年間の研究期間を活用して、より具体的な成果を示したいと考えている。
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