民間借家に対する法規制のあり方は、民間借家がその国の住宅問題解決において果たしている役割によって異なる。本研究では、持家奨励政策と公共住宅建設を中心にしてきたイギリス、市場における自由な住宅供給・借家供給を基調とし、窮迫した地域における家賃規制を補完的に行うアメリカとの対比において、日本の借家法制の特徴を検討してきた。 本年度は、定期借家制度に関する立法提案の動向を追跡し、平成11年12月に成立した定期借家法について、その内容、特徴、社会的効果について予備的な研究を行なった。 また、借家法制の経済的効果に関する理論的な研究を行い、アメリカとイギリスの民間借家の現状と法的規制の内容について最新の資料を収集し、その分析を行なった。加えて、アメリカ及びイギリスにおける住宅政策、住宅法、賃貸借法に関する文献を収集し、次年度の研究基盤を構築することができた。なお、イギリスに関しては、他の研究課題を遂行するに際して、本年度2回訪問する機会があり、環境省等の訪問を行なうことができたが、アメリカについては現地調査をする機会がなかったので、次年度はこの点を中心にして研究を進めることとする。
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