研究概要 |
11年度は,職場においてどのような問題が発生し,どう処理されているかを検討した。北海道の労働相談の実態につきヒヤリングするとともに,全国的な傾向についても調査した。具体的には,中労委や都労働委員会において,いわゆる駆け込み訴えの事例についてその特徴,労働委員会の対処方針等をヒヤリングをした。同時に,都の労政事務所,連合等においてもその実態をヒヤリングした。 それで明らかになったことは,(1)労働者が解雇されそうになってから組合〔多くは,コミュニテーユニオン〕に駆け込み,組合が本人の代理として団交を要求するパターンが多いこと,(2)労働委員会事件としては,斡旋事件もしくは団交拒否の不当労働行為事件として争われるが,実質は集団性のない事件であること,(3)コミュニテーユニオンとしても,駆け込み訴えに対し,経済的・人材的に十分に対処し得ないこと,(4)労働者個人は,組合にサポートを求めてはいるが,必ずしも集団〔組合〕志向的ではないこと等である。
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