1998年に採択された「国際刑事裁判所規程」は、前文および128条の条文から成り、その内容は、国際刑事裁判所の管轄権、刑法総則、裁判所の組織、捜査および公判、刑罰およびその執行、上訴および再審、国際協力および司法共助等から成る。 本研究は、この「国際刑事裁判所規程」の解釈論的研究である。この問題を刑事法学の視点から見た場合、主要なテーマは、(1)国際刑事裁判所において訴追される対象犯罪、(2)それに対して科される刑罰とその執行、(3)国際刑事裁判所の管轄権、(4)刑法総則規定、(5)国際刑事裁判所における刑事手続、(6)国際刑事裁判所に対する締約国の司法上の協力(犯罪人引渡し、捜査共助)等である。平成11年度においては特に(4)(5)(6)の研究を重点的に行った。とりわけOtto Triffterer ザルツブルク大学教授(オーストラリア)等による「国際刑事裁判所規程」の注釈書の執筆に参加した。この注釈書には、国際刑事裁判所設立に関与した世界中の主な研究者と実務家のほとんどが執筆している。 また平成11年度には、数度にわたり、国際連合において、国際刑事裁判所規程を補充するものとして、対象犯罪についてのガイドラインおよび手続・証拠規則の制定のための国際会議が開催された。この会合に出席し、各国代表と意見交換を行った。本年度は、このような新たな問題の展開をも視野に入れて研究を進めることができた。
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