1980年代初頭から90年代までの20年間、東北地方の地方議会議員を対象とした4次にわたる調査データの解析に基づき、本調査研究の設定した7つの質問領域に関して以下のような知見がみられた。 (1) 議員の社会的属性に関し、「地元出身者」の減少、「政治専業」化、「無所属」の増大がみられる。 (2) 地域問題の認知では、日本社会全体について、「国際化」[情報化」に加え「分権化」「規制緩和」を「よい変化」とし、「個人主義化」「官僚主義」に加え、最近は「高齢化」「少子化」が「悪い変化」と捉えられている。当該地域については、「道路・交通」「福祉」の面で「よい変化」、「政治」「財政」の面で「悪い変化」が起きており、なお、中央・地方間の格差は「所得」の面で、県内格差は「産業」の面で大きいとみられている。 (3) 地域の将来像では、市町村と県のいずれにも「人口減少に歯止め」の必要が意識され、「観光開発」の「促進」から「抑制」への重点移行がある。また、近隣関係について、「広域行政」や「合併」が現実問題となりつつある。 (4) 国政のあり方では、国政の傾向に「不安定」「無節操」を国の施策に「行き詰まり」を指摘する割合が増大している。 (5) 中央、地方及び地方分権に関して、いわゆる「中央直結型」指向から「地方の独自性」や「地方主権」の主張への移行が顕著である。 (6) 地方政治のあり方では、「国・県への依存」から「広域化」や「透明性の要求」増大を「変化」として捉え、「政党化」については消極的評価が増し、地方議会の「「低迷」の原因を「少ない政策提言」とする自己認識も増している。 (7) 地力議員の役割に関し、議員職の自己イメージの「世話役」から「行政監視役」への移行、選挙活動における「組織依存」から「議会報告」や「問題提起」型への移行が顕著である。
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