平成13年度は、平成12年度に引き続き、資本移動規制がブレトン・ウッズ体制期においてどの程度用いられたのかに関し、実施国の事例について実施の内容と撤廃の国内的背景を明らかにすることを目的にして研究を行った。実施国のデータの比較を行い、国内の利益集団の政治的表出を調査したが、かなり資料が限られており、すべての利益集団を扱うことは難しく、したがって、銀行業界を主として扱うことに軌道修正した。その結果として、13年度は、アメリカの政策とアメリカの銀行業界との関係について資料収集を行った。 特に、OECDの資本自由化コードの厳格化の形成過程と、その改定過程について、銀行業界がどのような影響を与えていたのかを検討した。この分野における研究業績は少ないため、具体的に政策決定過程を明らかにするに至っていないが、貿易量の増大と国際収支の不均衡の問題と資本移動の自由化の問題が関連してグローバルなレベルで検討のアジェンダとなった背景がある程度明らかになった。 また、日本についても、資本自由化コードが国内経済政策と関連してどのようにとらえられたのかを検討したが、資本移動規制が高度経済成長期の政策と密接に関連されていたことが明らかになったので、今後は、OECDの資本自由化コードとの関連を検討したい。日本はOECDに加盟はしたが、自由化コードの受け入れについては消極的であった事情をある程度明らかにすることができた。資本移動の自由化とグローバル・カヴァナンスの問題は、論文にまとめ発表した。
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