平成14年度は本研究の最終年度にあたるため、平成13年度までに収集した資料等の分析を行うとともに得られた知見をまとめることを中心的課題とした。第二次世界大戦後の資本移動の増大とその規制についてIMFおよびOECDの資料を中心にその経緯の解明に努めた。OECDにおいては、長期資本移動の自由化がどのように進められたのかを中心に分析した。長期資本移動に比べ、短期資本移動に対しては規制が国際経済体制においても支持されていた点を明らかにした。特に、1960年代後半のブレトン・ウッズ体制の動揺期におけるアメリカの規制実施の経緯を明らかにした。また、1970年代後半のイギリスの規制の事例も、各国が短期資本移動に対して政府による規制を正当化したのかを分析した。 さらに、1980年代以降の規制緩和政策がどのように国内産業と関わっていたのかを検討するとともに、経済に関する考え方がこの時点で新自由主義的なアイディアに転換しており、政策を支持する背景にあったこともある程度解明できた。このような各国政府の政策の転換がIMFなどの国際機関にも反映することにより、国際機関の政策も転換していくことが明らかになった。 各国政府の政策の比較については、まだ十分に比較を行うことができなかったが、今後この点については、不足の資料を補いつつ研究を進めて行きたい。平成14年度においては、アジアでの資本移動の自由化の状況を把握すること、及び成を発表するために中国を訪問した。14年度の成果は、アジアにおける経済関係(資本移動も含む)に片寄ってしまったが、現在、本研究の成果をまとめて発表する準備段階にある。
|