1.戦後イタリアの行政組織、公務員制度、政治的環境などの特徴を分析し、組織の非体系的増設、行政の南部化、政党支配体制と行政的非能率との関係を明らかにした。 2.90年代の行政改革(特にバッサニーニ改革)を4つの領域について概観した。(1)国家機能の見直しと権限の再配分、組織改革、(2)公務員の地位および人事管理制度の改革、(3)行政的意思決定の改善および法規偏重に起因する負荷の軽減、(4)市民-行政関係(応答性)の改善や公共サーヴィスの質的向上をめざした様々な取り組み。 3.90年代の行政改革の進展の要因や背景として、(1)冷戦構造の崩壊とイタリア国内の政治変動(「第1共和制」から「第2共和制」へ)政治変動、(2)欧州統合(市場統合と通貨統合)のインパクト、(3)北部同盟による中央政府=行政批判の影響などを示した。 4.今後の研究課題として(1)イタリア行政に関する社会学的統計的分析、(2)歴史比較論的分析の2つを柱にして作業を進める計画である。
|