研究課題/領域番号 |
11620086
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
政治学
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研究機関 | 神戸市外国語大学 |
研究代表者 |
村上 信一郎 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (10305675)
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研究分担者 |
藤井 篤 中部大学, 国際関係学部, 助教授 (90222257)
津田 由美子 姫路独協大学, 法学部, 助教授 (30247184)
阪野 智一 神戸大学, 国際文化学部, 助教授 (10162299)
古田 雅雄 神戸市外国語大学, 外国語学部, 非常勤講師
水島 治郎 甲南大学, 法学部, 助教授 (30309413)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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キーワード | 政党 / EU / 大衆組織 / サブカルチャー / 国家構造 |
研究概要 |
本研究の目的は、EU統合にともなって各国の政党組織がどのように変容していくのかを明らかにすることにあった。なぜならばEU統合により加盟国の主権が共有されていき、各国政府による政策決定の選択範囲もだんだんと限定されていく一方で、各国政府の政策決定過程においては今なお政党が決定的な役割を占め続けているからである。しかも各国の政党はそれぞれの社会の歴史的、文化的な特徴を刻印されたものとして成立している。そして各国の政党のそうした特徴が最も顕著に示されているのが政党組織である。 我々はこのような仮説から出発して、(1)EU研究、(2)政党研究、(3)事例研究(イタリア、イギリス、ドイツ、フランス、オランダ、ベルギー)に分けて、共同研究を行った。そして、いまだ未解決の問題は多々あるが、とりあえずは次のような結論に達した。 (1)EU統合が各国の政党組織に直接的な影響を与えるとはいえない。したがって、そうした影響を検討するためには、いくつかの媒介変数を設定しなくてはならない。(2)EU各国の政党は、基本的には、今なおそれらに固有の歴史的、制度的な文脈と論理に従って組織を維持しつづけている。したがって各国ごと差異は大きく、事例研究は不可欠である。(3)サブカルチャー組織の崩壊に伴う大衆組織の衰退傾向(党員数の減少)があるとはいえ、一般的にいって各国の政党組織は正統性やリーダーシップの調達といった点で今なお存在理由を失っていない。(4)しかし、イタリアの事例に顕著なように、EU統合は国家構造が脆弱な場合には政治構造の根本的な変容を促す「外圧」として作用し、それに伴って政党システムや政党組織のあり方も劇的な変化を被ることがある。(5)それゆえ、EU統合の影響に対して国家構造の脆弱性(vulnerability)が高くなるときには、その政党組織も大きな変容を被る可能性が高くなるということができる。
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