研究概要 |
産業部門から住宅地へのニューサンスを陽表的に導入し,その影響を減少させるためのニューサンスゾーニングが都市住民と土地所有者の厚生に与える効果を分析した。そのために,単純な線型都市のモデルが定式化され,都市内に等間隔で配置される業務地の数によって,ニューサンスゾーニングの土地利用規制の厳しさの程度が表現できると想定される。数値シミュレーションによると,生産における集積の利益が存在しないならば,住民の効用水準は,業務地数nに関して単峰型を示す。すなわち,最も厳しいゾーニング規制からそれを緩やかにしていくと,ニューサンス光生源から近くなることによる環境悪化の効果よりも,通勤距離短縮による可処分所得増加の効果が大きい。しかし,規制がある水準を越えより緩やかになると,環境悪化効果が支配的となる。広範な領域で都市住民と土地所有者の厚生の間にトレードオフがあることも明らかにされた。そして,生産の集積の利益が大きい場合は,このトレードオフは完全なものになる。
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