研究概要 |
都市内の交通は混雑を始めとする種々の外部性を有するだけでなく,郊外部から都心への(通勤等の)交通のためには都市内の稀少な資源である土地を各地点において交通用途に配分する必要がある。本研究では,CBD(業務用地)と住宅用地からなる単一中心型の線形都市において,自家用車と鉄道など異なる特性を持つ複数交通モードの利用可能性を仮定し,モード間における空間的配分も考慮した都市の最適土地利用を検討している.具体的には,前者が利用者数に応じてCBD(業務用地)内に駐車場という追加的な土地の配分を必要とするのに対し,後者は業務用地を浸食することはほぼ無い代わりに、比較的多大な固定費用を要する交通モードであることをモデル化し,理論的な最適土地利用配分とその達成のために必要となる公的手段である課税,料金制度のあり方を解明した.本年度は,昨年度に引き続き,交通モードとして従来型の自動車通勤に加えて電車を想定した放射型の公共交通機関まで自宅から自家用車でアクセスするパーク・アンド・ライドの選択肢を組み込んだ複数交通モードの理論モデルについて,比較静学分析を行った。特に実際的な政策上の課題に応えるため、より複雑な制約条件を反映した分析を行った。この結果、ある条件の下では、独占的鉄道会社の価格付けは都市規模に依存しないこと、独占的競争下においては都市規模に応じて均衡価格は都市規模に応じて減少することなどを明らかにした。さらに、3カ年全体の成果を取りまとめた。
|