13年度は、「開発政策の視点からの地域経済統合の比較研究」の遂行を中心的課題として、以下のようなサブ・テーマに沿って研究に取り組んだ。(1)経済統合理論の再検討。(2)ラテンアメリカ地域の経済統合の比較研究。(3)アジア地域経済統合の展開の研究。(4)計画最終年度(14年度)を前に、平成11年度から13年度までの研究成果を統合。 本年度研究成果は、以下のとおりである。(1)については、動態的貿易理論の成果を取り入れ、従来静態的貿易論の成果にたって論じられてきた経済統合論の再評価を試みた。(2)については、(1)の理論的整理、およぴMERCOSUR諸国での現地調査の上に立って、MERCOSURとNAFTAとの成果の比較を行い、「水平的統合」と「垂直的統合」として両者の性格の差異を整理した。そして、現在の世界経済環境の下では、MERCOSUR型=「水平的統合」は、NAFTA型=「垂直的統合」よりも困難に直面する可能性が高いことを明らかにした。(1)・(2)については、論文「水平的地域統合の経済開発効果-MERCOSURの成果と限界」、学会発表「地域経済統合の可能性と限界」(ラテンアメリカ政経学会第38回全国大会報告2001年11月11日京都外国語大学)として、公表した。 (3)については、一定の研究の結果、「地域アブソーバーの不在と統合の成否」という課題に焦点を絞る段階に到達している。(4)については、平成14年度における成果報告書の作成に向けて準備を進めている。
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