研究概要 |
本年度は、引き続き日本とアメリカの大学図書館を中心に資料調査を重ねながら研究を進め、秋にはアメリカでコモンズを中心にワークショップで報告する予定であった。シカゴ大学とオハイオ州立大学で行うはずであったが、渡航予定の一週間前に「ワールドトレードセンターへのテロ攻撃」が発生するにいたり、渡航そのものを中止せざるを得なかった。 その意味では、研究計画は少し停滞することになったが、しかし、渡航前に数人のアメリカの学者とEメールで議論することが出来たので、まったく成果がなかったわけではない。キャンセルせざるを得なかった旅行代金は、不調のため能率が著しく落ちていたパソコンの買い替え費用に充当した。 本年の成果は、(1)マイクロフィルム化された膨大なコモンズ・ペーパーを、立教大学図書館で丹念に調査できたことである。これによって従来不明だったことがかなり分かってきた。(2)タグウェルの著書をはじめ,関連した一次文献がかなり早稲田大学図書館に所蔵されていることが分かり、それを利用することが出来た。 現在集めた資料、文献を整理中であり、さらに当時の雑誌にも手を伸ばしながら、社会的な一般事情を探る作業を開始し、来年予定している学会発表の準備と成果報告書のまとめの準備を始めたところである。 「経済学史学会年報」39号に発表した論文「制度学派」は、最近10年間の内外における研究成果を展望したものである。
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