研究概要 |
「国際労働移動と所得格差」は生産要素の保有量のちがいによってしょうじる国際労働移動が2国の経済格差におよぼす影響を検討し、国際労働移動が2国の生産要素の保有量のちがいによってしょうじる2国の1人当たりの国民所得の差を減少させる可能性がひじょうに高いことを明らかにした。「総需要と国際労働移動」は国際労働移動が総供給とともに政府支出の変化をつうじて総需要にも影響をおよぼすと仮定し、国際労働移動が2国経済におよぼす影響を検討し、自国の労働と外国の労働が互いに粗補完財(gross complements)となることと自国の失業率が外国の名目賃金率から独立であることを明らかにした.これらの結果は、国際労働移動が総需要に影響をおよぼさないばあいと対照的である.また政策当局が予算制約を考慮し外国人労働者の流入の増加によって名目貨幣ストックが増加しても、消費者物価指数は上昇するとはかぎらないという結果も得られた.「外国人労働者の流入が自国人労働者におよぼす影響」は組合が自国人労働者と外国人労働者を等しく扱わないと、却って自国人労働者の雇用量と自国人労働者が受け取る実質消費賃金の合計(自国人労働者の名目賃金率÷自国の消費者物価指数×自国人労働者の雇用量)が小さくなってしまう可能性が高いことを明らかにした.「内生的な労働移動」は国内労働移動と国際労働移動がともに内生的にしょうじる二重労働市場をもつ2国マクロ経済モデルをもちいて,競争的な労働市場への新規学卒者などの不熟練労働者の参入が国内労働移動と国際労働移動をつうじて、経済全体の失業率を低下させることを明らかにした。
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