研究課題/領域番号 |
11630017
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
グレーヴァ 香子 慶應義塾大学, 経済学部, 助教授 (10219040)
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研究分担者 |
グレーヴァ ヘンリク 筑波大学, 社会工学系, 助教授 (60280905)
赤林 英夫 慶應義塾大学, 経済学部, 助教授 (90296731)
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キーワード | 労働 / ゲーム理論 / 実証 / 期待 / 評判 / 家庭 / 税制 |
研究概要 |
本研究の目的は、ゲーム理論を主な道具として用い、労働者、企業は共に戦略的に行動しているという角度から労働の需給がどのように決まるのか、その結果としての賃金分布、就職/転職率の性質などを、理論、実証の両面から分析することであった。昨年度の理論分析とデータ収集の下に、2年目の本年は理論モデルの結論の実証分析を主として行った。 昨年グレーヴァ香子と赤林が研究した理論モデルにより、労働者の転職行動は現時点での賃金だけに左右されるのでなく、労働者が予想する各企業の将来賃金、労働者の家庭状況や税制などにも依存することが考えられた。そこで、労働者が抱く将来賃金の期待は大企業ほど高いという『評判』モデルの実証研究をグレーヴァ香子とグレーヴァ=ヘンリクで行い、理論の結論を支持する結果を得た。これはTakako Fujiwara-Greve and Henrich Greve(2000)"Organizational Ecology and Job Mobility"Social Forces 79(2):547-568などにまとめ、海外の学会でも報告した。また、女性の労働供給は家庭状況や夫の所得控除といった税制に影響されていることを赤林が実証した。これは赤林英夫(2001)「社会保障・税制と既婚女性の労働供給:1990・95年パートタイム労働者総合実態調査を用いた実証分析」国立社会保障・人口問題研究所などにまとめた。 この結果、労働供給は戦略的に行われていることが明確になり、これまでの価格理論的考え方(労働は賃金という価格により需給調整される財である)に一石を投じることができた。また、ゲーム理論の観点からも将来の予測がゲームへ参加するかどうかを左右するという新しいモデルとその応用を提供した。
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