研究概要 |
動脈(財生産)部門と静脈(廃棄物管理)部門の間の財と廃棄物の循環を巡る相互連関関係を定量的に把握する勘定体型として廃棄物産業連関表の概念を提唱し,これに沿って平成7年度廃棄物産業連関表を開発した。この表は製造業を中心とする70の動脈部門,一般廃棄物と産業廃棄物から成る30種類の廃棄物,及び焼却・破砕・埋立の廃棄物処理部門から構成されている。焼却は更に廃熱利用・残差処理形態によって細別されている。この表は既に昨年度までに開発した平成2年表を更新した物であるが,今後の外部公開を踏まえて作成手続きをマニュアル化した。これをデータベースとし,廃棄物処理に関わる工学モデル(北大モデル)を入れ子とした統合LCAツールをMATLABシステムとして開発した。廃棄物産業連関モデルは廃棄物処理の特殊性から非線形であるので,解を求めるには収束演算が必要である。廃棄物管理についての各種シナリオを設定して演算を行い,その値を基準値と比較して評価を行うわけであるが,MATLABシステムの利用により分析者はエクセルのスプレッドシートをユーザインターフェースとして用いることが出来,MATLABのコマンドを直接用いる必要がない。 応用研究として,平成13年4月から本格施行される「家電リサイクル法」の評価を行い,廃棄物学会,環境経済政策学会,全国都市清掃会議,エコデザイン・ジャパン,およびEGG2000(Berlin)等で報告した。家電リサイクルの実行が従来型処理に比して,温暖化ガスとされる化石燃料起源の二酸化炭素排出を全体として削減すること,我が国の鉱物輸入を減少させること,国民経済全体での費要効果は中立であること,雇用が微増すること,が見いだされた。
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