平成12年度は、前年度に行った過去30年間の日本の労働統計に基づく男女それぞれの労働力の推移・産業別の特徴などの分析をさらに進め、男女産業別の雇用調整関数を「毎月勤労統計調査」から推計した。その結果、次のようなことが明らかになった。 1)製造業・サービス業とも、男子より女子の方が雇用調整速度は速い。 2)製造業とサービス業の雇用調整速度は推計期間によって異なり、男子製造業の雇用調整速度は、1986年以降の期間ではそれまでの期間より速くなっている。 これら労働需要サイドの分析に加え、供給サイド、すなわち家計労働供給の景気変動への対応についても、ドイツの個表データ(German Socio-Economic Panel)により分析をすすめた。内容としては、家計構成員の所得変動によって他の家計構成員、特に既婚女性の就業行動にどのような影響があるかということを課題としている。しかし、データの入手が12年度後半になったのと、データセット構造の理解および分析可能なデータセットに組み替えるのに時間がかかったため、年度内に分析結果を出すことができなかった。引き続き、作業を進めている。
|