本研究の目的は2つ存在する:1つは耐久財の供給独占の分野において、コースの推測と呼ばれる戦略(価格操作をせずに、プライステーカーとして行動すること、すなわち、価格と限界費用が等しくなるように耐久財を生産する戦略)を一般均衡の枠組みの中で再考察することであり、もう1つは独占企業がわざわざプライステーカーとして繰り返し行動せずにはおられない状況と独占企業が価格操作に必ず成功する状況とを統一的に説明できる動学モデルを構築することである。 上記の目的を達成するために、平成12年度は、前年度に藤本氏が大きく進歩させた一般均衡論的な拡張モデルに関する再検討をし(2財モデルで中古市場を組み込む方法および転売の可能性を導入する方法)、最適制御のシミュレーションを多用しながら、シミュレーション可能なモデルの作成を手がけた。 また、次年度の実証分析に備えて、必要なデータの収集に努めた。収集したデータは、地価公示データ、土地利用データ、新車と中古車市場データ、東欧の銀行金利データ等であり、これらの入力や整理・分析のために統計処理のソフトウェアMatlabや大容量MOドライブなどを購入・使用し、その際に大学院生をアシスタントとして使った。さらに、これらの資料を活用するために、神戸大学経済経営研究所、甲南大学、大阪大学および一橋大学を訪問し、東欧経済専門家にインタビューを行った。 なお、クラフチックは日本金融学会西日本部会および研究会において、処理済みデータの一部を用いて中間報告を行った。
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