研究課題/領域番号 |
11630024
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
林 基 福岡大学, 経済学部, 教授 (10090789)
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研究分担者 |
藤本 浩明 福岡大学, 経済学部, 助教授 (50209102)
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キーワード | コースの推測 / ベルマン / リカッチ方程式 / ポントリャーギン / レイド / ハミルトン行列 / プラウアー&ノエル / リャプノフ関数 |
研究概要 |
本研究の目的は2つ存在する:ひとつめは、耐久消費財について、その「供給を独占する企業は、価格と限界費用とが等しくなるように、その財を競争的に(プライステーカーとして)生産・供給するはずである」という、いわゆる「コースの推測」を一般均衡の枠組み(例えば、状態方程式の行列化)の中で再考察することであり;もう1つは、その企業が、わざわざプライステーカーとして繰り返し行動せずにはおれない状況と独占的な価格操作に必ず成功する状況とを、(つまり、静学モデルにおいては全く両極端な状況や戦略を)統一的に説明可能な動学モデルを構築することである。 本年度は、当該動学モデル(すなわち、正の割引率パラメータを有しない物理学のLQ加速度制御問題と違い、同パラメータを導入することによって、異時間の貨幣価値を比較する経済学のLQ利潤最大化問題)を計量化する際に生じるとされてきた2つの問題を解決した。まずは、この経済学問題では、ベルマンの最適原理から導出される非線形の行列リカッチ常微分方程式の解とポントリャーギンの最大化原理から導出される線形常微分方程式体系の解とは別物とされてきたが、レイドの手法を援用することによって、後者からも前者のような初期値に依存しない解を導くことができることを証明した。次に、上記の経済学のLQ問題において、ハミルトン行列変換を用いることにより、固有値全体が非負の割引率パラメータの半分だけ正の方向にシフトすることを証明できた。したがって、そのLQ問題のリカッチ方程式の解は非対称(ちなみに、上述の物理学問題では、割引率パラメータがゼロのため、対称)行列となるので、当該動学モデル体系の特異点の(漸近的)安定性を調べるためには、ブラウアー&ノエルの一般的な行列リャプノフ関数のセカンド法を使用する必要があることが判明した。
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