研究課題/領域番号 |
11630028
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
前川 功一 広島大学, 経済学部, 教授 (20033748)
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研究分担者 |
ティー キャン ヘーン 広島大学, 経済学部, 講師 (70325140)
ピント ドス・サントス 広島大学, 経済学部, 助教授 (20274045)
小瀧 光博 広島大学, 経済学部, 助教授 (00194564)
倉田 博史 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (50284237)
久松 博之 香川大学, 経済学部, 教授 (90228726)
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キーワード | SUR回帰モデル / 単位根 / 共和分 / 構造変化 / マクロ経済時系列 / 株価時系列 / シミュレーション分析 / 非線形時回帰分析 |
研究概要 |
本研究では、非線形・非定常時系列回帰モデルの統計理論的及び応用的研究に関するものである。これまでの成果は(1)非線形性と非定常性を同時に扱う研究、(2)非定常性のみを扱う研究、(3)その他この二つの基礎となる回帰分析の基礎理論研究を並行して行ってきた。 (1)に関しては前川とティー・キャン・ヘンが担当し、わが国のGDPのようなトレンドをもち単位根を持つ可能性のある経済時系列に対して単位根検定及び未知の構造変化時点の推定を研究しつつある。中間的な結果は2000年の日本統計学会でと題して報告された。それによると我々の提案した構造変化時点の推定方法は先行研究(畠中・山田(1999))で示された方法よりも優れていることがモンテカルロ実験で示された。マクロ経済時系列における構造変化時点を正確に検出することはマクロ経済の理解にとって極めて重要なことであるから、構造変化時点の正確な推定は極めて重要なテーマである。引き続き我々の方法の理論的特性について研究を行っており、間もなく論文の形にまとめる予定である。 (2)に関しては、前川・久松が非定常な説明変数を持つSURモデルにおける代表的な推定方法の優劣の比較を理論的及びモンテカルロ実験をとおして行った。その結果、定常時系列回帰の場合と同様に単純な最小2乗ほうより一般化最小2乗法のほうが推定効率が良いことが示された。また前川・何は単位根がある複数の無関係な時系列の間には見せかけのGranger因果性が検出される確率が高いことを理論的計算およびモンテカルロ実験で示した。そしてアメリカの生産統計とマネーサプライ統計の間の因果性はこの見せ掛けの因果性である可能性があることを示した。小瀧は共和分関係が存在する場合のGranger因果性検定の方法を提案しその理論的性質を研究した。 (3)に関しては、倉田がSURモデルにおける推定法の理論的比較を、また福地は時系列回帰に対するSubsampling法の有効性を研究し、共に(1)及び(2)に対する基礎的研究を行った。 なお、シンガポール国立大学金融工学センターで非定常時系列モデルの金融データーの応用に関する研究成果発表を行うとともに、同センターの副所長Yuk Tse教授らと金融時系列の非線形・非定常モデルについて意見交換を行った。
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