平成11年兵の調査・研究によって得られた知見の要点は次のとおりである。 (1)電子商取引が流通に及ぼす衝撃についての調査・研究 (1)電子商取引の応用システムとして、大企業はサプライチェーン・マネジメント (SCM)、業務統合システム(ERP)を導入しつつあり、資材の流れの上流から下流まで、企業の調達、製造、販売、物流等の機能が短期間に行われるようになリ、リードタイム短縮、在庫の減少、欠品の減少などの経営効果が現れている。 (2)電子商取引は、企業間および企業・消費者間の取引を直接取引にし、「中抜き」といわれるように、従来の複雑で、何段階もに分かれた流通経路を短縮、能率化する。その結果、企業経営は効率化するが、雇用は縮小し、失業者が発生する恐れがある。 (3)卸売り業、商社は、「中抜き」による地位低下の反面、流通業務に情報システムの企画サービスを付加することで、新たなビジネスチャンスを得ようとしている。 (4)小売り業は、インターネットショッピングによって、新たな購買者を獲得し、時間空間を越えた商圏を作り出し、また購買者のデータを蓄積・分析することで、One to Oneマーケティングを開始する機会を得ている。 (5)建設を中心とする公共調達の開始にあたり、建設業界はその対応を急いでいる。 (2)電子商取引が金融に及ぼす影響についての調査・研究 (1)オンライン証券取引が拡大し、従来の証券取引業の合併、効率化を促進している。 (2)電子マネーの従来型の実験・実用に加えて、デビットカードの取り扱い店舗が拡大し、モンデックス導入も準備され、電子決済が本格的に普及し始めている。 (3)電子商取引のネットワーク・技術基盤に関する調査・研究 (1)オープンビジネスネットワーク(OBN)が普及し、IP統合が進行している。 (2)オブジェクト指向ビジネスアプリケーションの開発、導入が実施されている。 平成12年度は、この認識を基盤として、統計情報の生産・利用システムの調査・研究を行う。
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