本年度は、インターネット時代の統計情報システムの前提として、統計対象にどんな変化が生じつつあるか、統計はどう対応しつつあるか、を主に考察した。 1インターネットエコノミーは、次の特徴をあらわしている。 企業経営では、顧客中心経営、個人ニーズの優位が顕著である。 企業情報システムは、個人の役割が高まり方向に変化している。 組織変化の特徴として、集権的垂直的組織の衰退、横断的水平的組織の発達がある。 社会・生活の変化:人間情報能力の発達を通じて、個人化、多様化の傾向にある。 キーワードは、「パーソナライゼーション」である。 2統計、統計学はどう対応するか? (1)官庁統計への影響 取引の電子化、クロスボーダー化による課税対象の捕捉が困難になる。 電子決済の普及による通貨流通への影響が現われ、捕捉が困難になる。 (2)パーソナルデータの重要化 企業、個人に膨大な経営・個人情報=パーソナルデータがDBとして蓄積される。 官庁統計中心から、ミクロデータ、パーソナルデータ中心への移行がはじまる。 統計活動のパーソナライゼーションが進む。 (3)パーソナルデータの統計分析の普及 民間企業での統計分析:データマイニング、予測が発達している。 (4)バーチャル統計の出現:インターネット空間で統計データが発生している。 (5)統計学への影響:統計データのビット情報的側面の重視、個人中心的視角。
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