研究概要 |
我々の研究の地球環境と経済倫理は、いわゆる現代科学の「総合化」が必須の条件である。そのため、今年度は、研究期間3年間の最終年ということであり、共同研究者それぞれが,最終の研究の仕上げに入った.過去2年間のこれまでの成果として,日本大学経済学部主催の公開講座で社会学的アプローチと人文学的アプローチの両方の代表者が成果報告をした.両者の融合に関して、どんな点で融合する部分があるか否かの基本的フレームワーク作りで問題点が残されており,この点でのもう少しの時間が必要であるように思える.最終年ということで,同じような研究活動をしている研究者をも呼んでhearingをおこない問題点の認識を確認しあった。 昨年同様にこれらの机上での研究では、問題点を見誤る点も出てくるということになり、机上の研究活動に加えて、実際に地球環境問題を探るために、今年度は九州水俣への実地調査・研究を行い、水俣病の発祥の問題について現地活動家との合同調査およびそのあとでの研究会を通して現時点での問題点を確かめる試みをした。ここでのhearingやdiscussionでは環境で被害受けた人たちの環境問題への倫理的考え方、特にそこで生活している人や生物等に対する生命倫理的考え方、と環境に影響を与えている側の経済上の理由(経済倫理的考え方)との間に埋めることのできない乖離があることが理解できた。時間の経過と共に世代間格差が見え隠れしていることが感じられたし,地域企業と地域住民の生活との間に横たわる問題点に関してこれからの研究に重要な示唆を与えてくれたと感じられた. これら一連の調査および報告会、研究会を通して、実績を作る作業に入ったわけであるが、とりわけ、人文科学アプローチからの実績として数編の論文の提出を見た。社会学的アプローチ側からはその成果が公開講座での報告という形で一応の実績が示された.しかし昨年同様まだデータの分析に時間がかかり,データ分析からの実績が十分ではない.
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