当該研究期間において、4本の論文を公表し、2回の学会報告を行った。4本の論文の概要を示す。 1 「介護保険とホームヘルプ労働」においては、1.介護保険以前のホームヘルパー派遣事業、2.家事援助を低く評価する介護保険、3.訪問介護(ホームヘルプ・サービス)の類型化と利用の制限、4.総合的な生活支援としてのホームヘルプ・サービスについて論じた。 2 「介護保険と市町村の自治能力」においては、1.介護保険事業計画の性格と評価、2.介護保険事業計画に住民・被保険者の声は反映されているか、3.A市の「利用状況にかかる調査」と「問い合わせ事例」にみる利用状況と問題点について論じた。 3 「デンマークにおける地域ケアシステムとマネジメント」においては、1.デンマーク経済の概要、2.福祉国家のジレンマ-長期失業者・就労意欲喪失者への対応、3.ミュン市の在宅サービスの内容と体制、4.福祉を支える財政・行政・住民自治の仕組み、5.これからの方向-価値ある人生のための在宅ケアについて論じた。 4 「市場のなかの『弱い個人』」においては、1.新古典派経済学が想定する「強い個人」、2.「強い個人」は現実的か?、3.効率性の追求と「障害」、4.障害者の「自立」を阻む障害者雇用の現状、5.「弱い個人」を支える社会について論じた。
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