本年度はまず前年度の調査結果、収集した資料を整理し、その成果をまとめた。まず7月に関西中小企業研究会で報告し、中小企業であったデンマークの風力発電機メーカーがいかにしてアメリカの巨大企業にうちかち、世界一のシェアを獲得するようになったかを論じた。そこで得られたコメントによって改訂し、「デンマークの風力発電機産業」として大学の論集に発表した。また同論文を見た日本風力エネルギー協会からも依頼があり、同協会の機関誌『風力エネルギー』に寄稿することとなった。この論文はまだ刊行されていないが3月末に原稿を提出、4月中に刊行される予定である。またデンマーク電気博物館が刊行したデンマークの風力発電の歴史に関する文献を6月から約1年にわたり同誌に翻訳掲載することとなった。 今年度の研究の焦点は二つある。一つは風力発電の発達における需要サイドの分析である。もう一つは我が国における風力発電の現状に関する調査である。前者については前掲論文で論じた供給サイドに対応させるためにデンマークで調査を実施した。調査テーマは電力の買い取り、補助金、課税などであった。また近年風力発電の普及がめざましいスペインにおいてもその背景について調査した。 日本に関しては最近、大型の風力発電設備が次々と建設されている。それらの多くには地元の自治体がかかわっている。そこで北海道の苫前町と三重県の久居市を訪問し、それぞれの自治体の対応について調査を実施した。
|