研究概要 |
在華紡績の実態の解明のための作業を、内外綿の事例を中心に、次のような点について行った。 第1,内外綿の、中国における活動の実態を把握する事を目的に、1921年から1942年までの内外綿の各工場(国内の大阪、西宮、安城、中国の上海、青島、金州の工場)の、毎期の貸借対照表と損益計算書を、コンピュータへ入力した。この時系列数値を利用して、まず、1921-30年にかけての分析を行っている。各工場の、利益率、固定資産比率、流動資産比率、売上高回転率等の数値分析を行いつつある。各工場の内外綿の資産の95%以上が中国におかれていたこと、また同社の利益合計の95%以上が、中国の工場で上げられていたこと、中国工場の成績は、5.30事件などの政治的な事件の時期をのぞいて、国内よりも、高かったことなど、在華紡績の経営実態が数値的に把握されつつある。 第2,特定年(1921年、昭和7年、17年)の機械設備の変遷を、コンピュータへ入力した。中国においては、継続的に新鋭機械を設備して、技術進歩に積極的であったことが、わかりつつある。 第3,明治28年から昭和23年までの特定年の内外綿(株)株主名簿を、コンピューターへ入力した。これを用いて、同社のコーポレートガバナンスの変化を分析している。
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