本研究は、戦時体制期・戦後改革期の農地政策について、実証的に分析を進めることにあった。この研究の意義は、従来の研究が農地政策の政策立案過程や立法過程に重点をおいてきたことに対する批判にあった。したがって、この研究では農地政策の実際の運用状況を示す資料を広く収集することに力を入れた。調査対象は、行政文書としては、農林水産省、都道府県、市町村であり、それを基本として、そのほかに農林省、都道府県、帝国農会、道府県農会、内務省警保局関係などが刊行した刊本類、全国的な新聞、各地の新聞、雑誌などを幅広く収集した。その結果、小作料統制令、臨時農地等管理令、臨時農地価格統制令、農地作付統制について、実際の運用状況を明確にすることができた。小作料統制令については、従来、明確でなかった実績を1事例ごと確定するとともに、小作料統制令の機能と意義について分析した。臨時農地等管理令、臨時農地価格統制令については、その運用実績を明らかにし、さらに実態として法令どおりに実際に運用されていたかどうかを考察した。全体として、統制違反が多いことを実証的に示した。農地作付統制については、従来その政策展開自体が十分に明らかでなかったので、政策展開を時期区分しつつ明確にし、かつ実際の運用状況を明らかにした。農地作付統制の展開が当時の農業生産構造に極めて大きな影響を与えたことを指摘した。そのほかに、農地政策の前提になる農地自体の動向を戦時統制政策の視点から明確にした。これらの研究成果の公表は、重要な部分については、すべてレフェリー制学術雑誌に投稿しており、現在公表しつつある。
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