研究概要 |
(1)平成11年度は、日本の組立加工型産業に属する企業の社史の調査を行って、各社の生産システムの展開過程を追うと共に、小島プレス、三菱自動車水島製作所等を訪問して聞き取り調査を行った。その結果、自動車産業における生産システムについての新たな知見を得ることが出来た。それと同時に、東京都立図書館、愛知県立中央図書館等において当該地域の生産システムについての新聞記事を収集した。 (2)こうした資料収集を行いつつ、同年それらの成果を取り込んで和田が中心となって、"The Evolution of the `Japanese Production System':Indigenous Influences and American Impact"を執筆した。これは、平成12年にJonathan Zeitlin and Gary Herrigel ed.Americanization and its Limits-Reworking US Technology and Management in Post-War Europe and Japan, OXFORD University Pressの1章として出版された。 (3)平成12年度は三菱重工業の長崎・下関両造船所、トヨタ自動車等を訪問して資料の所在調査と収集を行い、また、アメリカ合衆国戦略爆撃団が行った航空機企業等の機械工業についての報告書のオリジナルドラフトの解読・分析を行った。さらに、戦中・戦後の小型車メーカーとして独自の存在性を保持していた太田自動車(高速機関工業)の営業報告書を入手し、その分析も行った。 (4)平成13年度は既収集資料の整理・分析を行いつつ、不足資料の収集を行った。特に前年度に収集した資料の内、三菱長崎造船所が昭和30年代初頭に日本能率協会に委託して行った生産方式についての調査報告に注目して、その分析結果を論文として作成しつつある。また、本研究の成果の内、造船業についての研究結果は、平成14年10月にトロントで開催されるThe Society for the History of Technology (SHOT)の年次大会で報告される予定である。
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