1980年代以降アングロ・サクソン系諸国を中心に、先進諸国の間で公共部門改革の動きが広がり、「ニュー・パブリック・マネジメント」の潮流となった。NPMは、グローバルなパラダイム変革であり、公共部門の構造改革とみることができる。 NPM論の核心は「目標管理型システム」の導入にあり、「目標管理」とは、「ビジョン・目標」を実現するためのシステムである。NPMを主導した諸国では、「ビジョン・政策目標」は、本来「政治」がその役割を担ってきた。いわゆる「政治主導」の仕組みである。しかしながら、多くの諸国・政府では必ずしも「政治主導」の仕組みは十分機能していない。これは第一に、二大政党制をとる諸国においても対立する政党間での政策・政権ビジョンの相違が不明確となり、政治プロセスでビジョンや戦略を問うことが不十分となったこと、第二に、「政府の失敗」「市場の失敗」によりNPOなどを核としたあらたなかたちでの参加の枠組みを確保することが先進諸国でも必要とされるようになったことによる。このような「政治主導」の機能不全や「政府の失敗」により、昨今のNPM論は参画・協働を前提としたシステムへと進化を遂げている。「顧客」「スティクホルダー」「所有者(主権者)」としての住民の属性ごとの参画・協働の枠組みを活用する新たなガバナンス・マネジメント・システムが現在構築されようとしているのである。
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