藤田は、国際通貨としてのユーロの可能性を中心に研究した。まず、導入直後のユーロはマルクがもっていた多様性を基礎にした国際通貨性を喪失することを確認した上で、ユーロが国際通貨となる場合のいくつかのルートを検討し、これまでの国際通貨と比較してのユーロの特質を考察した。さらに、ドルとユーロの国際通貨としての相互関係、および複数基軸通貨体制における安定性とそのための政策協調のあり方についての予備的考察を行った。 高浜は、固定相場制における通貨投機発生のメカニズムを中心に研究し、通貨投機の発生と当該通貨国のファンダメンタルズ、投機家の予想との関係に関する理論的研究の整理を試みた。具体的には、通貨投機の発生は当該通貨国のファンダメンタルズと密接に関係すると論じる第1世代モデルと、ファンダメンタルズと関係なく発生すると論じる第2世代モデルとを比較して、両者の論点の相違点、類似点を明確にするとともに、欧州通貨危機、アジア通貨危機に共通する経済敵情圏について考察した。 これらの研究成果は、雑誌論文の形で公表された(投稿中も含む)。
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