本年度は研究期間最後の年であり、翻訳により韓国税法ハイブリッド、台湾税法ハイブリッド、中国税法ハイブリッドの論文をまとめた。しかし翻訳にかなりの時間がかかり研究があまり進行しなかった。 わが国は戦後、アメリカの税法を導入し、それを基礎に他国の税法をハイブリッドさせてきた。また経済会社に適合するように、それも徐々に変形が進んだ。昨今で会計の国際化と並んで、企業の海外進出が盛んとなり諸外国の税法の影響を受けるようになった。その一つが、定額法や連結納税といえる。 一方韓国は、戦後すぐにわが国の統治時代の税制を基本的に導入した。その後も税制の根本的な改正がなされたものの、わが国の税法に似ている点も多い。その例として交際費課税や特別償却等の租税特別措置があげられる。昨今、わが国同様、国際化に適合せざるを得ない状況である。 台湾の税法の期限は1910年に遡る。当時は韓国と同様にわが国が統治しており日本の税制が導入されていった。しかし1950年代になると、台湾特有の戸税制度に他国から影響された分類所得税と綜合所得税をハイブリッド化した税法であった。1963年に所得税を中心の直接税体系を作り上げた。その課税範囲は西ドイツに近いものであつたが、使用する青色申告制度はわが国の制度というように、多くの国の税法がハイブリッド化されていた。また基本となる居住者概念は、アメリカ、イギリス、フランス等の影響があった。 中国の1994年に改正された税法に、社会主義市場経済体制の確立に重要な役割を果たし今日の基礎を創っている。中国の税制の歴史は古く、多くは中国の独自のものが多い。しかし所得税計算についてみるに、ここにおいては欧米の計算法がハイブリッド化され創設されたといえる。
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