本研究は税制の国際移転メカニズムについて、国別と項目別に分析した。 日本は、戦後、シャウプによりアメリカ方式の税制が導入された。その後、経済に合わせ、この税制は変形した。租税特別措置の導入等による。中小企業軽減税率は、アメリカ等から移転し、修正した制度である。所得税はアメリカ方式であり、その後の分離課税はフランス方式の採用といえる。EU型の消費税が導入された。さらに欧米の影響を受け、税率の引下げ、租税特別措置の縮小がなされた。 韓国は、併合時代は租税体系、所得税等が日本的であった。その後、韓国独自の税制に変更した。朝鮮動乱後、諸外国から税制を導入した。租税特別措置、緑色申告書は日本の税制を移転した。教育税等は韓国の独自性がみられる。欧米の影響で税率引き下げが行われた。 台湾は、統治時代、日本の税法が導入された。戦後、この税制は廃止された。台湾特有の戸税制度に、他国からの所得税を組み合わせた。その後、単一所得税に移行した。所得税を中心の直接税体系を建てた。課税範囲は、西ドイツに近い。「名詞定義」と青色申告は日本から導入した。標準控除はアメリカから導入した。 中国は、市場開放前まで、ソ連の影響が見られた。市場開放後は、利改税が東ヨーロッパから、増値税はEU諸国から導入した。社会主義市場経済後は外国税制の経験を生かした。配当金課税等アメリカ方式の導入が多くみられた。 結論として国別税制の移転は、韓国と台湾は、租税特別措置等わが国の影響が、中国はアメリカからの移転が多かった。項目別税制の移転として社外流出項目は文化等の影響が大きく変化が遅い。社内経理項目は会計の影響を受ける。租税特別措置は産業政策の移転に対応する。国際課税項目は諸外国の動きに敏感で対応が早いことであった。
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